bar buenos airesが監修するCDの記念すべき第20作目として、アルゼンチンの音楽家カルロス・アギーレ『Va Siendo Tiempo(バ・シエンド・ティエンポ)』がリリースされました。(カワズ)
アルゼンチンの音楽家カルロス・アギーレは、グループ名義やデュオ、トリオ、ソロピアノ等、これまでに様々な編成で作品を発表してきました。今作『Va Siendo Tiempo(バ・シエンド・ティエンポ)』は、カルロス・アギーレ・キンテートという名義になっていて、ギターを中心とした五重奏団(クインテット)で編成されてます。
小音量のギターがイントロに配された表題曲「Va Siendo Tiempo」でスタートする本作。そのギターのアルペジオが刻む規則的なリズムは、まるで寒い季節の終わりと共に止まっていた時計の針が再び動き出したように感じられ、自然と心が躍りました。
2017年のトリオ作『Calma(カルマ)』や2019年の『La musica del agua(ラ・ムシカ・デル・アグア 〜 水の音楽)』や、2020年のヨタム・シルバースタインとの共作『En el jardín(エン・エル・ハルディン)』と比較すると、本作『Va Siendo Tiempo(バ・シエンド・ティエンポ)』は、とても穏やかで開放的な作風だと思います。ギターやバンドネオンやアコーディオンなどが奏でる、たおやかで躍動的で、時に祝祭的なモダン・フォルクローレ。春や初夏の季節にぴったりのサウンドといえます。
一方で、こうしたポジティヴな質感のアンサンブルの中にも、どこか陰影が宿っていることがカルロス・アギーレの音楽の特徴です。悲哀や郷愁の念やセンチメンタルな気持ち。本作でも、そうした奥行きのあるメランコリックな音楽表現を、彼が作るメロディーやフレーズの一つひとつ、そして彼自身のヴォーカルから感じ取ることができると思います。
今作において彼が表出するメランコリーの正体は、CDに付属する本人による序文や解説、ライナーノーツを読むとさらにクリアになると思いますので、ぜひ手に取ってみてください。平和、民主主義、コミュニティーの連帯、多様性。そうした様々な愛のカタチに対する彼の強い願いが本作のモチベーションになっていることを感じることができるはずです。
アルバムタイトルの"Va Siendo Tiempo"とは、It's about
time、つまり「今がその時」というニュアンスなのだそうです。何かを新しくクリエイトしたり、自らの思いをメッセージとして発したり、それらを誰かと分かち合ったりすること。『Va
Siendo
Tiempo(バ・シエンド・ティエンポ)』は、そうした前向きな気持ちを後押しし、勇気づけてくれる作品だと思います。
Carlos Aguirre Quinteto / Va siendo tiempo
▼Release Date : 2022.3.31
▼price:3,300円(本体3,000円+消費税)
▼RCIP-0330
▼Label : bar buenos aires
▼6面デジパック+20Pブックレット
▼ライナーノーツ:
カルロス・アギーレ(対訳:西本秀人、谷本雅世)、
吉本 宏(resonance music / bar buenos aires)
▼帯コメント:山本勇樹(bar buenos aires / Quiet Corner)
《Track Listing》
01. Va siendo tiempo (Carlos Aguirre)
02. Siempre azul (Carlos Aguirre)
03. Color despedida (Carlos Aguirre)
04. Los amores de Cabre (Enrique Hidalgo)
05. Chaya errante (Carlos Aguirre)
06. Zamba de los almacenes (Carlos Aguirre)
07. Nini (Carlos Aguirre)
08. Don Angel Borda (Carlos Aguirre)
09. Siesta de domingo (Carlos Aguirre)
10. A gatas (Carlos Aguirre)
11. Camino a Puerto Alvear (Carlos Aguirre)
12. Puerto Soledad (Henry Martinez / Carlos Aguirre)
13. Cancion por Santiago (Carlos Aguirre)