2021年11月28日日曜日

Sound of Afterglow vol.20 《Female Vocal in Indonesia》


熊本シティエフエム金曜日の番組「セレナ・セラータ」の音楽コーナー《Sound of Afterglow》の20回目が放送されました。今回は、インドネシアの女性ボーカルを特集しました。(カワズ)

♪Danilla / Ada Di Sana

ボサ・ノヴァやジャズ・ヴォーカル、オルタナティヴ・ロックなどを聴いて育ったDanilla。2014年のデビューアルバム『Telisk』に収録されている曲です。アンニュイで浮遊感のあるボーカルが特徴的で、内に秘めるような情感とメランコリーを感じます。以前、このブログでは彼女のEP『Fingers』を紹介しました。モンド・ガスカロとデビュー当時から親交があり、『Telisk』のプロデューサーは、モンド・ガスカロ作品などに参加しているギタリストのラファ・プラトモが務めています。


モダン・ジャズ系の管楽器奏者、ベニー・リクマフワの2012年のアルバム『Like Father Like Son』に収録されている曲。トロンボーンの甘い旋律と、どことなくブロッサム・ディアリーを思わせるフェミニンなボーカルが絶妙にマッチしています。歌っているモニタ・タハレアはこのブログやラジオでも何度か紹介しているシンガー・ソングライターで、アイドル発掘番組出身ながら、インドラ・レスマナをはじめ、多くのジャズミュージシャンとコラボレーションをしています。


オーストラリアの音楽学校でジャズを学び、インドネシアに帰国して本格的に活動をスタートしたAmelia Ong(アメリア・オン)。Java Jazzフェスティバル等の著名な音楽フェスにも出演する実力派です。この曲は、デビューアルバム2015年『Amelia Ong』に収録された、シャープなリズムと軽やかなピアノのタッチが特徴的なナンバー。インドネシアを代表するピアニスト、Sri Hanuragaが立役者といえます。アルバムはその他の曲も聴きどころ満載で、ボーカル作品というよりジャズアルバムと言っていいと思います。


2019年のファーストアルバム『AMBIVALÉN』に収録。この曲はMarini Nainggolanのデビューシングルで、英語で“Crazy Cycle”という意味のようです。イントロのスキャットが印象的で、ありそうでなかったタイプのインドネシアのジャズ・ボッサ。ダニ・グルジェルあたりを彷彿とさせるボーカルスタイルで、より近年のコンテンポラリーなブラジル音楽を参照しているように感じられます。アルバム全体としては、アコースティックポップのテイストがメインの作風です。


以前紹介していたMarcoMarcheをはじめ、インドネシアからは毎年のように質の高い男女のギターデュオが登場します。インドネシア語で「24」という意味を持つDua Empatは、その中でも珍しく、オールドスタイルのジャズを基調としたデュオです。彼らのファーストアルバム『Two of a Kind』には、この曲で歌っているAlmira Joesoefの他にもボーカリストもフィーチャリングされていて、先ほどのMarini Nainggolanも2曲参加しています。近作では、モンド・ガスカロとのコラボも。


コーナーの最後は、静かな曲で締めました。ボストンの名門バークレー音楽大学で音楽を学んだChika Olivia(チカ・オリヴィア)。Littlefingersというジャズトリオの鍵盤奏者兼ボーカリストとしても活動しています。アルバムはリリースされていませんが、公開されている楽曲はどれも素晴らしく、今後が期待できる逸材です。以前Spotifyで公開したプレイリスト「Quiet Indonesia」の1曲目に入れた曲で、聴いてくださった方からとても好評でした。

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インドネシアの女性ボーカルの音源で編んだSpotifyのプレイリストを作成しました。オンエア以外の曲もセレクトしていますので、ご興味のある方はぜひ。