2023年8月2日水曜日

Sound of Afterglow vol. 40《Adhitia Sofyan》

 

熊本シティエフエム金曜日の番組「セレナ・セラータ」の音楽コーナー《Sound of Afterglow》の40回目が放送されました。今回は、インドネシアのシンガー・ソングライター、アディティア・ソフィアン(Adhitia Sofyan)の特集。最新作『Stubborn Heart』がとても良かったので、このアルバムの楽曲を中心にお届けしました。(カワズ)

アディティア・ソフィアン(Adhitia Sofyan)は2010年『Quiet Down』でデビューしたインドネシアのシンガー・ソングライターで、アコースティックギターを中心とした内省的なサウンドを得意としています。日本でも、2016年の『Silver Painted Radience』までの4枚のアルバムがプロダクション・デシネからリリースされました。
最新作『Stubborn Heart』は、フルアルバムとしては5th『Chonicles of You』(2019)、6th『Songs from Your Stories』(2021)に続く7枚目のアルバム。これまで多くの楽曲を宅録スタイルで制作してきましたが、今作は一味も二味も違う作風に仕上がっています。ジャケットのアートワークからも見て取れるように、今作では、80sサウンドを彷彿とさせるアプローチが随所にちりばめられているのが特徴的で、彼のトレードマークであるアコースティックギターはほとんど登場しません。昨年リリースされたシングル「Arduous to Forget You」では珍しく軽やかな16ビートの楽曲だったので、アルバムがではどんな感じになるかとても楽しみだったのですが、さらに期待を超える仕上がりだったのでいい意味でとても驚きました。
昨今のシティポップ・リヴァイバルとも共鳴するような今作『Stubborn Heart』ですが、馴染みあるメロディーラインは健在。そしてこれまでの楽曲同様に、彼の人間味あふれる内容が歌われていて、自己の内面を投影するシンガー・ソングライターとしての一面は失われていません。ちなみにアルバムタイトルのStubborn Heartとは《頑固な心》という意味で、曲名のClingy Boyとは《しつこい男》といったニュアンス。彼がここで紡ぐ言葉には、都会的で煌びやかなサウンドと彼の内面とのギャップが見え隠れしています。


4thアルバム『Silver Painted Radience』の後にリリースされた2017年のEP『8 Tahun』収録曲。僕は4作目のリリース時にLatina誌でインタビューを担当したのですが、Silver~はバンドセットだったが今後は基本的には宅録スタイルに戻る、といったことをその時に語っていました。このミニアルバムは、まさに有限実行といえるような、アディティアらしい極上のアコースティックサウンドに仕上がっています。


2019年にリリースされたミニアルバム『Other Side』収録曲。本作は、彼がこれまで見せなかったダークな歌詞の世界観が広がった一枚です。他の曲も、「I Don’t Celebrate My Birthday」や「Doomsday Song」といった曲名から明らかなように、ここに描かれているのは、これまでとは違った、随分と仄暗い世界、つまり《Other Side》です。しかしいつものアディディア節は健在で、ポップなメロディとともに、親しみ易い作風に仕上がっています。


このコーナーはいつも静かめの穏やかな曲を紹介しています。ラストの曲は、最新作『Stubborn Heart』から。アルバムの中でもひときわ静かなピアノの弾き語り曲で締めました。

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今回オンエアした楽曲を中心に構成したSpotifyのプレイリストを作成しました。オンエア以外の曲も含めてセレクトしていますので、ご興味のある方はこちらもぜひ。