2022年9月25日日曜日

Sound of Afterglow vol. 30《Danilla Riyadi》

熊本シティエフエム金曜日の番組「セレナ・セラータ」の音楽コーナー《Sound of Afterglow》の30回目が放送されました。今回は、インドネシアのDanilla Riyadi(ダニラ・リヤディ)を特集しました。彼女の最新作『POP SEBLAY(ポップ・セブレイ)』は、今年のアジア勢の中では個人的にベストアルバムに推したい一枚です。(カワズ)

1990年にヴェテラン・ジャズ歌手イカ・ラティ・プスパの娘として生まれたDanilla Riyadi(ダニラ・リヤディ)。2014年にこの曲が収録された1stアルバム『TELISIK(トゥリシック)』でデビューしました。持ち味は何といっても低音のボーカルスタイルから醸し出されるアンニュイな空気感です。幼いころはボサ・ノーヴァやジャズ・ヴォーカルを聞いて育ったとのことで(おそらくは母親の影響でしょう)、そのあたりのメランコリックでアダルトなニュアンスが全面に出た作品です。


2017年のセカンドアルバム『LINTASAN WAKTU(リンタサン・ワクトゥ)』に収録されているナンバーから一曲紹介しました。インディーズながら本国の各種メディアで称賛されたデビューアルバムと同様に、内省的な世界観が染み渡るような一枚です。プロデュースは前作に続きラファ・プラトモという人物で、彼はモンド・ガスカロのセッションメンバーとしても活動しているキャリアの持ち主です。ちなみにダニラはデビュー時にモンド・ガスカロとライブで共演しています。


The Glamors(グラマーズ)という男性5人組バンドと共作した2021年作『Peluh, Gairah & Kelana』収録曲を紹介しました。このアルバムは彼女の既存の楽曲を80sテイストにアレンジしたセルフカバー集で、バンドを従えたことで内省的で時に静謐な質感のオリジナル楽曲が、より肉体的でグルーヴ感のあるサウンドに生まれ変わっています。この曲のオリジナルは、2019年のEP『FINGERS』に収録されています。


最新アルバム『POP SEBLAY(ポップ・セブレイ)』(2022)より3曲紹介しました。1st~2ndのボサノヴァやジャズボーカルを軸とした音楽性とは異なり、よりクールなR&B寄りのバンドサウンドにシフトしている作品です。いくつかの記事を読むと、キャリアを重ねるごとに変化を続ける彼女のスタイルに対して、デビュー当時のダニラを懐かしむリスナーに向けた、彼女なりの回答も歌詞の中で表現しているそうです。個人的には、音楽家が自身の作品作りに真摯に向き合う過程で、サウンドやリリックに関して進化やチャレンジを続けながら自己表現するのが本当のアーティストの姿だと思うので、本作で彼女の大いなる成長を感じることができたのはとても幸せだと思っています。


 コーナーの最後はいつも静かめの曲をお届けしています。ラストは、2014年の1stアルバム『TELISIK(トゥリシック)』から一曲。ダニラの音楽を初めて聴き、感銘を受けたのがこのナンバーなので、特集の最後に紹介させて頂きました。

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ダニラの最新作『POP SEBLAY(ポップ・セブレイ)』を中心に、彼女の新旧楽曲から選んだSpotifyのプレイリストを作成しました。オンエア以外の曲も含めてセレクトしていますので、ご興味のある方はこちらもぜひ。