2016年9月11日日曜日

クール・ブラジル2

リオ五輪開幕時に「クール・ブラジル」という特集をしましたが、パラリンピックに因んで今日は第二弾。今回は近年の女性音楽家たちの作品に絞って4枚選びました。(カワズ)



Gisele De Santi 『Casa』


サンパウロで活動するジゼリ・ヂ・サンチ、通算3枚目となるニューアルバム。瑞々しいタッチのピアノや郷愁を誘うストリングスの旋律が、艶のある彼女の歌声を一層引き立てる、メランコリックでエレガントな一枚。静謐な世界観が際立つ前半も極上ですが、ビートルズのカバー「The Fools On The Hill」をはじめとする終盤のジャジーな流れも素晴らしく、彼女の前2作に魅了されたリスナーにも納得の内容に仕上がっています。
Gisele De Santi - Casa

Gisele De Santi - The Fool on the Hill (The Beatles)

Mallu Magalhães 『Pitanga』


サンパウロ出身で十代から活躍するマルー・マガリャエスは、人懐こい歌声とイノセントな佇まいが持ち味の若きSSW。彼女の2011年作は、プライベートのパートナー、マルセロ・カメーロが全面的にバックアップしたアルバムです。リラックスした雰囲気と小気味好いボッサのアレンジが魅力の3曲目「Sambinha Bom」をはじめ、北米のインディー・フォークとも共鳴するような、素朴と洗練の絶妙なバランス感覚が素晴らしい一枚。
Mallu Magalhães - Sambinha Bom

Mallu Magalhães - Youhuhu

Jenniffer Souza 『Impossível Breve』


『永遠でないもの』という邦題が付いたジェニフェル・ソウザの2014年作。ブラジル音楽の奥深さの象徴ともいえるミナス地方で生まれた本作は、緩やかに広がる音像と仄かな透明感、レイドバックした演奏、そして胸に染みるメロウな旋律が凝縮された一枚です。凛々しさや逞しさとともに、時折り見え隠れするフェミニンなたおやかさに思わずドキっとする瞬間も。聴き込むほどに虜になる名盤です。

Jennifer Souza - Para Kerouac

Jennifer Souza - Le Flâneur

Elas De Minas 『Elas De Minas』


ミナス関連作をもう一枚。本作は、「ミナスの女たち」という意味を持つグループ名の元、彼の地の女性ミュージシャン9人が集結して作ったアルバムです。収録された12曲それぞれ個性的なナンバーが並んでいてどれも素晴らしいのですが、個人的なベストトラックは、躍動感溢れるリズムアレンジに胸が踊る2曲目の「Panorâmica 808」と、サビで訪れるたおやかで祝祭的な雰囲気が魅力の6曲目「Rosa」。
Elas De Minas - Panorâmica 808 (Leopoldina e Mestre Jonas)

Elas De Minas - Rosa (Érika Machado)