2023年6月24日土曜日

Sound of Afterglow vol. 39《Indonesian 80s》

熊本シティエフエム金曜日の番組「セレナ・セラータ」の音楽コーナー《Sound of Afterglow》の39回目が放送されました。今回は、《ポップ・クレアティフ》と呼ばれるインドネシア80sポップスを特集しました。(カワズ)

♪Ermy Kullit / Walau Dalam Mimpi
Ermy Kullit(エルミー・クリット)は、インドネシアのジャズボーカリスト。1973年のデビュー以来、20枚以上のアルバムをリリースしているベテランです。お届けした曲は、同名アルバム『Walau Dalam Mimpi』(1985)に収録された彼女の代表曲のひとつで、タイトルは《Even in Dreams = 夢の中でも》という意味です。曲名とおりのメロウでドリーミーな心地よさを感じる一曲。

♪Trio Bebek / Lagu Putih
作曲家Guruh Sukarno Putra(グル・スカルノ・プトラ)の作品集『Pergelaran Karya Cipta 1』に収録された1曲。グルは、インドネシアの初代大統領スカルノの息子で、1970年代後半以降に新しいインドネシアポップスの礎を築いたと言われています。この曲は、グルが創設した女性トリオボーカルグループTrio Bebek(トリオ・ベベク)によるナンバーで、洗練されたアレンジに折り重なるグルーヴィーなコーラスワークが素晴らしいです。


Ria Angelina(リア・アンジェリーナ)は、1984年に1st『Birunya Rinduku』でデビューした歌手。この曲は、そのデビューアルバムに収録されています。か細くメランコリックなボーカルが切ないメロディにマッチしているナンバーです。アルバムのほうは、著名なSSWオビー・メサック(Obbie Messakh)がプロデュースしたことで当時話題になったそうです。ジャケットに映る溌剌としたルックは、「フィジカル」期のオリヴィア・ニュートン・ジョンあたりを意識しているようにも感じます。


♪Andi Meriem Matalatta / Sejuta Rindu
Andi Meriem Matalatta(アンディ・ムリエム・マタラッタ)は、インドネシア南部スラウェシ島のマカッサラという都市の出身。とくに1980年代に活躍。インドネシアでは「南から来た真珠」というニックネームで呼ばれていたそうですが、2010年に53歳の若さで亡くなりました。この曲は、1985年のアルバム『Hasrat』に収録された、トロピカルフレーヴァー漂うラテンな一曲。インドネシアの老舗レーベルMusica Studioからのリリース。


Margie Segers(マーギー・セガーズ)は、1970年代から活動しているインドネシアの三大女性ジャズシンガーのひとり(他の二人は、冒頭に紹介したErmy Kullitと、以前Mondo GascaroがコラボレーションしたRien Djamain)。1982年のアルバム『Englo Lari vol.2』に収録された透明感溢れるブラジリアンテイストのポップスを紹介しました。『Kesepian』というアルバムも素晴らしいのですが、1990年の作品なので今回は除外しました。別の機会に紹介します。


Rafika Duri(ラフィカ・ドゥリ)は、1980年代に複数のボサノヴァ作品をリリースした歌手。本曲は『Bossanova Indonesia』シリーズの第一弾に収録されています。デビュー当初はオーソドックスなポップス歌手だったようですが、イレン・マウラナという人物(プロデューサー?)が、彼女の低くてソフトな声がボサノヴァ向きであると、ボサノヴァ・シンガーへの転身を助言したのだそうです。


ここまで、女性ボーカリストの作品を紹介しましたので、最後は男性で締めました。Utah Likumahuwa(ウタ・リクマフワ)は1982年に『Nada Dan Apresiasi』でデビューしたジャズ~ソウルシンガー。その1stアルバムに収録されたメロウでジャジーな一曲です。ちなみに、弟のBenny Likumahuwaはインドネシアジャズ界で著名なサクソフォン奏者という音楽家系です。

------------------------------
今回オンエアした楽曲を中心に構成したSpotifyのプレイリストを作成しました。オンエア以外の曲も含めてセレクトしていますので、ご興味のある方はこちらもぜひ。