2017年3月5日日曜日

旅する風の音楽家、モンド・ガスカロ特集②

先週に引き続き、今週もモンド・ガスカロの特集記事です。モンド・ガスカロは人気バンドSOREを脱退する前の2012年、Ivy League Musicというレーベルを立ち上げ、インディーアーティストのプロデュース業を始めました。今日はそのIvy League Musicを中心に、彼が手掛けた音源を紹介します。(カワズ)


Payung Teduh "Dunia Batas" (2012)


Payung Teduhは2007年から活動する4人組グループ。インドネシアの伝統音楽であるクロンチョンとアコースティックなインディー・フォークが程よくブレンドされた2012年リリースの本作は、モンド・ガスカロがプロデュースしています。2013年には東京で来日公演を行ない、この時にはモンドも帯同しました。

Payung teduh - 'Untuk Perempuan Yang Sedang Di Pelukan'

Ayushita "Morning Sugar" (2013)


インドネシアの若手女優、Ayushitaのファーストアルバム『Morning Sugar』は、ビッグバンドを率いた芳醇なジャズボーカルものやフォーキーなナンバー、60年代テイストのソフトロックなどが並ぶバラエティに富んだ一枚。モンドは制作ディレクター兼プロデューサー、そしてアレンジャーとして関わっています。彼はフィメールアーティストとの相性も良く、気鋭のボーカリストDanillaや、シンガー・ソングライターMian Tiaraらとのコラボ活動も充実しています。
 Ayushita  - 'Sehabis Hujan'

Darryl Wezy "Maze of Fears" (2013)


モンド・ガスカロと同じくプロダクション・デシネから日本国内盤としてリリースされているダリル・ウェジーの『メイズ・オブ・フィアーズ』。その全篇にわたって冴え渡るギターサウンドに心が躍る一枚です。一聴してもインドネシアのアーティストの作品とは思えない普遍的なインディ・ポップワールドには、60年代以降の先人達から受け継いだ刹那と青さ、そして極上の音楽センスが垣間見えます。
Darryl Wezy  - 'Imaginary Hill'

Noh Salleh "Angin Kencang (強い風)" (2015)


ノ・サリは、マレーシアの人気ロックバンドHujanの中心人物で、彼はモンド・ガスカロが在籍していたSOREの大ファンだったそうです。本アルバムのリード・シングルとして発表されたタイトル曲「Angin Kencang(強い風)」は、モンドが共同プロデュースを手掛けたナンバー。中盤でのスリリングな展開や楽曲全体を覆うメロウネスなど、SOREの影響を感じずにはいられません。
Noh Salleh - 'Angin Kencang(強い風)'