2013年4月12日から2014年2月13日までの1年弱の間、僕はTwitterやFacebook上で、【日々の余韻】というタイトルの投稿を毎日行っていました。基本的に日々の投稿は短めのディスクレビュー。それと月に一回程度、コラム的に長めの文章を書いていました。
今日は、ジョン・レノンの代表曲「イマジン」について、【日々の余韻】で書いた記事を再アップします。(カワズ)
2013年12月8日【日々の余韻 Daily Afterglow 233】
John Lennon 「Imagine」 (1971)
既に良く知られていることですが、ジョン・レノンの代表曲「イマジン」は、ヨーコ・オノ著『グレープフルーツ』で頻繁に登場する「Imagine」というフレーズに、彼がインスパイアされたことが確認されています。この曲は、平和を希求するロマンティックな彼の想いが綴られたものではありましたが、国も宗教も所有もない無秩序的世界を煽動するようなプロパガンダの類いの歌ではなく、「想像する」という、決して何からも侵されないはずの行為が果たしてちゃんと個々人の中で機能しているかという懸念、延いてはイマジネーションの欠如からもたらされた世の中の状況に対する彼なりの危機感がその主題だったのではないかと僕は思っています。
「想像の自由」という芸術活動の根源的な第一歩を、メタ的に自らの作品で示したヨーコ。彼女のそんな信念をなんとしても彼の音楽に練り込みたかったからこそ、このImagineというフレーズを幾度となく歌の中に登場させたのではないでしょうか。
♪想像してごらん、天国などないんだと
♪天国などないと思ってごらん
♪天国などないと想像しなさい
収録されたアルバムによって翻訳のニュアンスが異なっていますが、個人的には、『グレープフルーツ』との因果性や結び付きをより感じさせ、安易に楽曲の持つメロウネスに誘引されていない表現、つまりはっきりとした命令形を用いた「想像しなさい」という対訳が、今日では最も説得力があるように思えてなりません。
想像してみることの大切さを促そうとした、煽動者ではなく先導者としてのシンプルな言葉に、この上ない真実味を感じる今日この頃です。