
2007年にオリジナルリリースされた、エリザ・ラムレイ(Eliza Lumley)によるレディオヘッド楽曲のカバーアルバム『She Talks in Maths(シー・トークス・イン・マス)』が、Quiet Cornerレーベルの監修によりリイシューされました。僕はこの再発CDのライナーノーツを担当しました。(カワズ)
エリザ・ラムレイ(Eliza Lumley)は、舞台を中心に活動するイギリスの俳優・歌手です。いくつかの著名なミュージカル作品に出演したことで、若くして英国内で知られるようになりました。そして2000年代中盤、女優業の傍らで彼女は新たな活動領域として、スタジオ作品の制作に挑戦。その結果生まれたのが、本作『She Talks in Maths(シー・トークス・イン・マス)』でした。

このアルバムは、全編がレディオヘッドの楽曲だけで構成されています。繊細でエレガントなジャズボーカル的なアプローチもあれば、彼女の主戦場である舞台作品を彷彿とさせるような、生き生きとしたシアトリカルな楽曲も収められています。ちなみにサブタイトルは、「Interpretations of Radiohead」(レディオヘッドの解釈)。原曲に宿る内省感でポエティックでメランコリックな世界観を、彼女なりに丁寧かつダイナミックな手法で解明しようとした、とても意欲的な一枚だと感じています。なお、アルバムタイトル『She Talks in Maths』は、「Karma Police」に登場する男を表した歌詞《He Talks in Maths》に由来しています。
Eliza Lumley - Creep
Quiet Cornerを主催する山本さんによると、随分前からこのアルバムの中の曲をクワイエット・コーナーのコンピレーションCDに収録したかったそうです。なかなか実現しなかったその願いは、今年、シリーズ開始10年目の節目としてリリースされたアナログレコード『Quiet Corner – a collection of melancholic music』でようやく実現しました。本作から、「Black Star」が、A面冒頭に収められています。

Quiet Corner – a collection of melancholic music(LP)
Eliza Lumley - Black Star
今作のCDライナーノーツでは、そうしたQuiet Cornerシリーズとの繋がりのほか、彼女の経歴や収録曲の楽曲紹介などをしながら、自分なりに本作の「解釈、解明」をしてみました。
ぜひCDで手に取ってもらえると嬉しいです。

■RCIP-0374
■2025年5月30日リリース
■2,860円(本体2,600円+消費税)
■レーベル:Quiet Corner
■正規ライセンス国内盤CD
■仕様:見開き紙ジャケット+封入ブックレット
■ライナーノーツ:河津継人(afterglow)
■トラックリスト
01. High and Dry
02. Black Star
03. Street Spirit
04. Let Down
05. No Surprises
06. Karma Police
07. Lucky
08. How To Disappear Completely
09. Creep
10. Bullet Proof.. I Wish I Was
11. I Will