2023年4月30日日曜日

Sound of Afterglow vol. 37《Covers by Asian Artists》

熊本シティエフエム金曜日の番組「セレナ・セラータ」の音楽コーナー《Sound of Afterglow》の37回目が放送されました。今回は、アジアのアーティストによるカバー特集をしました。4月からこのコーナーも4年目に突入です。本年度もどうぞよろしくお願いします。(カワズ)


Monita Tahalea(モニタ・タハレア)は2005年から活動しているインドネシアの女性ボーカリスト。サイモン・ガーファンクルの名曲を、メランコリックな質感で繊細に描いています。日本でも評価されたアルバム『Dandelion』から5年ぶりの4th『Dari Balik Jendela』(2020)に収録されています。余談ですが、本コーナー「Sound of Afterglow」は、この曲名からインスパイアを受けて命名しました。


韓国で活動するThe Barberettes(ザ・バーバレッツ)は、緻密なコーラスワークが持ち味の女性ボーカルグループ。同じく女性コーラス・グループ、The Chordettes(コーデッツ)が1954年に歌ったナンバーを、2018年の編集アルバム『Seasons』でカバーしています。50~60年代風ヴィンテージサウンドをうまくアップデートしていると感じます。アルバムリリース時は3人組でしたが、現在は一人脱退してデュオ体制で活動しています。


ボルネオ島出身でクアラルンプール在住のシンガーソングライター、Zee Avi(ジー・アヴィ)。2009年に『Zee Avi』でアルバムデビューしました。1968年に発表されたママス&パパスで有名になった曲ですが、実は戦前に作られたスタンダードで、オリジナルは1931年の作品ということです。ウクレレで奏でるこちらのオーガニックなバージョンは、2014年のカバー集『Zee Avi's Nightlight』に収録されています。


Yeongene(ヨンジン)は韓国のインディーバンドLinus' Blanket(ライナス・ブランケット)のフロントパーソン。英国のインディーバンドBMXバンディッツのメンバーが全面サポートしたバカラック作品のカバーアルバム『Me and My Burt』に収録されています。BMXバンディッツがLinus' Blanketと共演したときに、彼女のボーカルに惚れ込んで実現したのだそうです。


フィリピンのシンガー、Celeste Legaspi(セレステ・レガスピ)は、女優や映画・演劇プロデューサーとしても知られる人物です。音楽シーンでは主に70~80年代に活動し、リリースした複数のアルバムがプラチナ&ゴールドディスクを受賞しました。ロバータ・フラックが1975年に歌った「Feel Like Makin' Love」を、翌年にタガログ語でカバーしたのがこのバージョンです。


香港の歌手兼女優、Deanie Ip(ディニー・イップ、葉德嫻)が1981年リリースした一曲。70年代から活動したバンドDr. Hook(ドクター・フック)のフリーソウルな名曲「Sexy Eyes」のカバーです。個人的には、2018年にリリースされた香港産レア・グルーヴのコンピレーション『Hong Kong Disco』に収録されたことでこのバージョンの存在を知りました。タイトル通り、女性ならではの色気を感じるボーカル表現が素晴らしいです。


台湾のシティポップバンド雀斑(freckles)でソングライティングとボーカルと務める林以樂(リン・イーラー)による、大滝詠一のスタンダード「夢で逢えたら」の中国語カバーです。プロデュースはヒゲの未亡人として活動する岸野雄一&ゲイリー芦屋の二人。7インチシングルでリリースされていて、片面の「你不只是一個普通的朋友(お友達でいましょうよ)」も素敵なソフトロックです。カラフルなジャケットもマッチしていると思います。


Hajji Arejandoro(ハジ・アレハンドロ)は、フィリピンの男性シンガーソングライター。The Bee Gees(ビー・ジーズ)の隠れ名曲「Charade」のタガログ語ナンバーを最後に紹介しました。原曲はビー・ジーズがディスコブームでヒットを重ねる前のアルバム『Mr. Natural』(1974)に収録。アルバムとしては地味目ですが、美しいオーケストレーションを配した繊細なナンバーで、そのニュアンスはこちらのバージョンでも表現されています。


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今回オンエアした楽曲を中心に構成したSpotifyのプレイリストを作成しました。オンエア以外の曲も含めてセレクトしていますので、ご興味のある方はこちらもぜひ。