2019年4月21日日曜日

日々の余韻アーカイブス(その18)~ブラジルの音楽~

ミュージック・マガジン5月号の特集『ブラジル音楽オールタイム・アルバム・ベスト100』に参加させて頂きました。各選者が30枚づつセレクトし、ランキング形式で100枚が選出されています。その特集で僕自身が推薦した30作品の一部について、以前【日々の余韻】というタイトルでSNSに毎日アップしていた投稿のアーカイブからご紹介します。(カワズ)



2013年4月16日 【日々の余韻 Daily Afterglow 005】
Osmar Milito "E Deixa O Relogio Andar" (1971)

ブラジル人コンポーザー、オズマール・ミリートによる1971年にリリースされたファースト・アルバム。どちらかといえばセカンドのほうが高評価のようですが、荒削りなアレンジでソフトロック的ないなたさが全面に出たこちらのアルバムのほうが個人的には好みです。『そして時計を進めよう』という邦題も◎。
Osmar Milito - E Deixa O Relogio Andar


2013年5月3日 【日々の余韻 Daily Afterglow 022】
Roberto Nascimento "Roberto Nascimento" (1975)

ブラジル人ギタリスト、ホベルト・ナシメントによる1975年作。一曲目の「Voltei」は、エレクトリック・ピアノとクラシックギターが絶妙に絡み合い、洗練されたグルーヴ感に満たされる最高のブラジリアンです。そして、続く「El Saltamontes」からこぼれ落ちる優美なアンサンブルに完全にノックアウト。SSWらしい佇まいのジャケットも、どこか哀愁を感じます。
Roberto Nascimento - Full Album


2013年10月3日 【日々の余韻 Daily Afterglow 175】
Gil Goldstein & Romero Lubambo "Infinite Love" (1993)

ジャズピアニスト、ギル・ゴールドスタインが、ブラジルの名立たるミュージシャンと作り上げた極上の名盤です。ギルのエレガントなタッチは勿論のこと、ホメロ・ルバンボとトニーニョ・オルタのギタープレイに思わずうっとり。冒頭の「My Foolish Heart」をはじめ、ギルのピアノを中心に、マイルドな質感の前者とミナス特有の浮遊感を生み出す後者がお互いの良さを引き立て合う、親密で美しい名演奏を堪能できます。
Gil Goldstein & Romero Lubambo - My Foolish Heart 


2013年10月27日 【日々の余韻 Daily Afterglow 191】
Don Beto "Nossa Imaginação" (1978)

ドン・ベトの78年作。ジャケットは結構ミステリアスというか、何だか良くわからない感じですが、内容は最高にメロウでアーバンなブラジリアンAOR。フリーソウルなタイトルトラックよりも、「Menina Mulher」や「Amor Informal」などの緩めのナンバーが今日の気分です。特にラストの「Pensando Nela」は、サウダージ感溢れる旋律が週末の黄昏に溶け込むセンチメンタルな一曲。
Don Beto - Pensando Nela


2013年11月7日 【日々の余韻 Daily Afterglow 202】
Danilo Caymmi "Cheiro Verde" (1977)

ドリヴァル・カイミの息子、ダニーロが紡ぐブラジル・ミナス音楽を代表する一枚。欧米的なポップ・ミュージックとしてのフックは決して多くないものの、ソフトな質感のボーカルと、随所で光る洗練された旋律、そして全体を覆うたおやかなボッサ・グルーヴに思わず何度も聞き返してしまうアルバムです。「Mineiro」などにおける独創性あるフルートの調べはいつ聴いても刺激的。
Danilo Caymmi - Mineiro


2014年1月5日 【日々の余韻 Daily Afterglow 261】
Chico Buarque "Chico Buarque De Hollanda Vol.3" (1968)

柔らかな陽射しに包まれたような味わい深いアンサンブルと、どこかアンニュイな雰囲気の漂う歌声とともに、当時20代半ばの若者が紡いだ憂愁のボッサ。ブラジルを代表する音楽家、シコ・ブアルキの初期の名盤です。
Chico Buarque - Ela Desatinou