今日は、10/17(土)Kidsaredead福岡公演で共演するLampについて、【日々の余韻】で書いた記事を再アップします。(カワズ)
- 2013年4月12日から2014年2月13日までの1年弱の間、僕はTwitterやFacebook上で、【日々の余韻】というタイトルの投稿を毎日行っていました。基本的に日々の投稿は短めのディスクレビュー。それと月に一回程度、コラム的に長めの文章を書いていました。
2013年7月20日【日々の余韻 Daily afterglow 100】
“夏に散らした小さな恋” from 音源集『残光』(2007)ブルーウェーブ、サーフライダー、ロングビーチ、パラソル...色鮮やかな横文字が醸し出すティピカルな夏の情景と、ナイーヴな青年が抱えるパステル色の恋の無力感。その濃淡のコントラストがシンプルな8ビートにのって疾走してゆく、センチメンタルなサマーソング。あまりにも直線的で儚い青春の残像に、二度と来ないいつかの夏を重ね合わせてしまいます。
これは僕が最も信頼し敬愛するバンド、Lampの『残光』というミニアルバム(アルバム未収録曲を集めた音源集)からの1曲です。2000年代の中頃、僕は音楽に興味を失っていた時期が数年ありました。そんな折、ふとしたことから彼らの音楽を聴いたことで、また自分の中での音楽への熱が上がって今に至ります。細かくは省略しますが、もしLampに出会わなかったら今の自分はない。そう断言できます。
なお、Lampの夏の歌としては「青い海岸線から」という素晴らしい曲があるのですが、収録アルバム『八月の詩情』が近々再発されるかもしれないということですので、その時に紹介できればと思っています。 【日々の余韻】はどうにか休むことなく100日目を迎えることができました。記事を読んだり音源を聴いてみてくださった皆様、どうもありがとうございました。まだゴールは見えませんが、少しでも長く続けていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2013年12月2日【日々の余韻 Daily afterglow 227】
アルバム『東京ユウトピア通信』(2011)東京在住の3人組バンド、Lampの大傑作アルバム。個人的にもここ数年で最も再生頻度の高い一枚です。質と量の両方に対して一切の妥協が無く、引き算ならぬ「足し算の美学」と銘打ちたくなるような情報量とその処理能力の高さに大きな衝撃を受けました。
特筆すべきは、南米音楽的リズムアレンジやブラジル・ミナス地方特有の空気感、あるいはビートルズ中~後期の実験性などの様々な音楽的要素が、ワールドミュージック的なベクトルではなく、洗練されたジャパニーズ・ポップスとして昇華されている点。
加えて、作品全体を通してアナログ的で温かみのある質感を持ちながら、驚くほど立体的な音像を作り出していることや、曲順や曲間など楽曲以外の部分でもコンセプチュアルに徹頭徹尾こだわり抜かれていることも、強調したいポイントです。
僕はずっと、このアルバムは彼らの一つ目の到達点だと思っていたのですが、最近になってそうじゃないのかもと感じるようになってきました。これはまだLampの通過点に過ぎない。この作品を聴き返すたびに、そんな無限の可能性を彼らには感じてしまいます。
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★アルバム『ゆめ』発売時に、ウェブダカーポに寄稿した記事はこちら→