2016年2月2日火曜日

日々の余韻アーカイブス(その4)〜アルゾ・フロンテについて〜


2013年4月12日から2014年2月13日までの1年弱の間、僕はTwitterやFacebook上で、【日々の余韻】というタイトルの投稿を毎日行っていました。基本的に日々の投稿は短めのディスクレビュー。それと月に一回程度、コラム的に長めの文章を書いていました。

今日は、12年前の2004年2月1日に亡くなったシンガー・ソングライター、アルゾ・フロンテについて【日々の余韻】で書いた記事を再アップします。(カワズ)



2014年2月1日【日々の余韻 Daily Afterglow 288】

『Alzo』 (1971)

『Takin' So Long』 (1972)

Alzo 『Alzo』&『Takin' So Long』
 10年前の2004年2月1日、日本国内での再評価の真っ只中に突然この世を去ったシンガー・ソングライター、アルゾ・フロンテ。12弦ギターの瑞々しいサウンドとピュアな歌声、そして心に沁みる美しいメロディはいつ聴いても素晴らしく、新鮮さを失うことがありません。冬には暖炉のようなナチュラルな暖かさをもたらし、夏には涼しげな風を運ぶ、そんな不思議な魅力が彼の音楽には宿っています。

70年代、正当に評価されることなく失意のうちに音楽活動を引退し、家具屋を営んでいたアルゾ。それから約30年後の2003年、デビュー作『アルゾ』のCD化をきっかけに再評価の熱が高まり、お蔵入り状態だったセカンドアルバム『テイキン・ソー・ロング』の世界初リイシューが決定。再び表舞台へと上がるための階段が用意された、そんな矢先の急逝でした。そのことを僕は、最後に「スターティング・オーヴァー」と歌ったジョン・レノンとどこか重ね合わせて、胸が熱くなってしまいます。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、CDとして再発されたその二つのライナーノーツには、アルゾの作品が再び日の目を見ることになるまでの軌跡と、突然訪れた彼の死のことが綴られています。彼を長い間捜し続けた者と、いつか誰かが自分を訪ねてくるんじゃないかと夢見ていた元ミュージシャン。その二人の運命的な出会い。念願のCDリリース。そして叶わなかった再出発について。

彼と、彼の魅力に取り憑かれた者たちの渾身の音楽愛から生まれたそんなマジカル・コネクションに感謝しながら、今日はアルゾが紡いだたくさんの名曲に浸ることにします。